代表者がこれまでの実務で携わった相談・支援事例をご紹介します。現事務所での支援事例に加え、開業前の実務経験に基づく事例も含まれています。特定の個人・事業者が識別されないよう、内容を一部調整のうえ掲載しています。
個人事業主として事業を行っていましたが、簿記の知識がなく、仕訳についてもまったく分からない状態でした。クラウド会計ソフトを利用していたものの、どのような取引をどのように処理すればよいのか分からず、会計処理から所得税の確定申告まで、自分で対応できるようになりたいというご相談でした。
「税理士にすべて任せるのではなく、自分でも会計や税務について理解し、自分で確定申告ができるようになりたい」というご相談でした。そこで、会計ソフトの操作方法だけではなく、簿記の基本的な考え方から身につけていただくことを重視しました。
実際の取引を例にしながら仕訳の考え方や勘定科目の選び方を一つずつ説明し、あわせて簿記の学習方法や学習に役立つサイトなどもご紹介しながら、ご自身で知識を身につけていただけるようアドバイスしました。さらに、入力した仕訳が適切かどうかを自分で確認するためのチェック方法や、事業内容に合わせた勘定科目の設定・使い分けについても整理し、会計ソフトへの入力方法だけでなく「取引→仕訳→決算書→所得税の確定申告」という一連の流れを理解していただけるよう支援しました。こうしたやり取りを1年間で合計4回の面談を通じて行い、その都度実際の会計処理を確認しながら理解を深めていただきました。
当初は仕訳がまったく分からず簿記の知識もない状態でしたが、最終的には日々の仕訳入力から決算・所得税の確定申告まで、自分で対応できるようになりました。税理士に任せるだけではなく、自分の事業のお金の流れや税金について自分で理解し、判断できるようになることを目指した支援事例です。
サービス業を営む法人の設立にあたり、インボイス登録や消費税の扱いについて相談を受けました。取引先は法人が中心で、今後の取引を考えるとインボイス登録について検討する必要がある状況でした。
インボイス登録をするべきか、登録した場合の消費税負担はどの程度になるのか、どの課税方法を選択するのがよいのかについて相談を受けました。
インボイス制度と消費税の仕組みをご説明したうえで、法人を設立される事業の内容や取引先との関係を踏まえてインボイス登録の必要性を検討し、あわせて課税事業者となった場合の消費税負担を確認しながら、利用できる制度や課税方法を比較しました。その結果、2割特例を利用する方法を選択し、インボイス登録の有無だけでなく、登録後に発生する消費税負担まで含めて選択肢を整理しました。
インボイス登録を行い課税事業者として申告したことで、2割特例を利用しながらインボイス登録に対応し、消費税負担を抑えることができました。会社設立時は、インボイス登録の有無や消費税の課税方法がその後の税負担にも影響するため、制度を一方的に説明するのではなく、事業内容や取引先との関係を踏まえて選択肢を整理し、一緒に考えることを意識した支援事例です。
※2割特例は、令和5年(2023年)10月1日から令和8年(2026年)9月30日を含む課税期間までの時限的な措置です。この期間を過ぎると利用できなくなるため、その後は簡易課税制度や本則課税など、あらためて課税方法をご検討いただく必要があります。
販売管理システムを利用していましたが、売上データを会計処理に反映するためにExcelで集計する作業が必要となっていました。また、経費等の支払いについても現金での支払いがあり、現金出納帳の作成や会計ソフトへの入力など、日々の経理業務に手作業が多く残っている状況でした。
販売管理システムや会計ソフトを利用しているものの、システム間でデータが十分につながっておらず、Excelでの集計や会計ソフトへの入力などの作業が発生していました。そこで、クラウド会計ソフトの導入だけではなく、売上の集計方法や経費等の支払方法を含めて経理業務全体を見直し、できるだけ手作業を減らせる仕組みを検討しました。
経理業務を効率化するためには、単にクラウド会計ソフトを導入するだけではなく、その前段階にある販売管理や支払いの方法から見直す必要があると考えました。売上については、販売管理システムのデータを活用し、これまでExcelで行っていた集計作業を自動化しました。支払いについては、現金による支払いを極力なくし、クレジットカード・ICカード・銀行振込を中心とした方法へ整理しました。これらの取引データをクラウド会計ソフトと連携することで、会計処理への反映を効率化するとともに、現金出納帳を作成する負担もなくしました。このように、会計ソフトだけを見るのではなく、販売管理から支払い、会計処理までの業務の流れを整理し、できるだけデータを活用して手作業を減らせる経理体制を検討しました。
クラウド会計ソフトの機能に業務を合わせるだけではなく、実際の販売・支払業務を確認しながら、システムやデータを活用できる業務フローへ見直しました。
販売管理システムのデータをExcelで集計していた作業が自動化され、支払いについても、クレジットカードや銀行口座等の取引データをクラウド会計ソフトへ連携できるようになりました。また、現金による支払いを極力なくしたことで、現金の残高管理や現金出納帳の作成が不要となり、これまで手作業で行っていた集計や入力作業を減らすことができました。クラウド会計の導入をきっかけに、会計ソフトだけではなく、その前後にある業務の流れまで見直すことで、経理業務全体の効率化につなげた支援事例です。
創業直後の経営者から、事業を軌道に乗せるための資金を確保したいというご相談をいただき、日本政策金融公庫の創業融資に向けた支援を行いました。事業については具体的なイメージがあるものの、それを数字でどのように表せばよいか分からず、必要な資金や今後の事業の見通しをどのように整理すればよいか悩まれていました。
創業融資を申し込むためには、必要な資金とその調達方法、創業後の売上や経費など、今後の事業の見通しを整理する必要があります。一方で、創業したばかりの段階では実績が少なく、将来の売上や経費をどのように見積もればよいのか分からない場合もあります。そこで、経営者が考えている事業の内容や今後の展開についてヒアリングしながら、それを具体的な数字に落とし込み、創業計画として整理していきました。
創業計画は、融資を受けるためだけに作成するものではなく、これから事業をどのように進めていくのかを数字の面から確認する機会でもあります。そのため、単に書類の作成方法を説明するのではなく、まず経営者から事業内容や今後の見通しを伺い、何にどの程度の資金が必要なのか、その資金をどのように調達するのかを一緒に整理しました。また、売上や経費の見込みについても、経営者の考えをヒアリングしながら数字に落とし込み、事業の見通しとして無理のない計画となっているかを確認しました。数字に慣れていない経営者にも内容を理解していただけるよう、できるだけ分かりやすく説明しながら、創業計画の作成・添削を行いました。
書類を作成することだけを目的とせず、経営者自身が事業計画や数字の意味を理解したうえで説明できるよう支援することを大切にしました。
創業計画を作成する過程で、必要な資金やその調達方法、今後の売上・経費の見通しが整理され、創業後の事業を数字の面から確認できるようになりました。創業融資の支援を通じて、資金調達だけでなく、創業後の経営について数字をもとに考えるための土台づくりを支援した事例です。
複数の事業を行っていましたが、会社全体の損益は把握できるものの、それぞれの事業がどの程度利益を生み出しているのかを十分に把握できていない状況でした。また、金融機関などに事業の状況や今後の見通しを説明する際にも、経営者が頭の中で把握している内容を、数字や資料として整理する必要がありました。
複数の事業を行っている場合、会社全体では利益が出ていても、事業ごとの収益性や課題までは会社全体の損益計算書だけでは分かりにくいことがあります。そこで、事業ごとの損益を把握できるようにするとともに、それぞれの事業の状況を確認するためのKPIを整理し、経営者が数字をもとに事業の状況を把握できる仕組みを整えることにしました。
管理会計では、細かく数字を管理すること自体が目的ではなく、経営者が事業の状況を把握し、経営判断に活用できることが重要だと考えました。そこで、まず事業ごとに売上や費用を整理し、それぞれの事業の損益を把握できるようにしました。また、損益だけでは事業の状況を十分に把握できないため、各事業の実態に合わせてKPIを整理しました。さらに、経営者が頭の中で把握している事業の状況や今後の見通しについてヒアリングし、それを数字や資料として整理するとともに、金融機関などへの説明にも利用できる資料フォーマットを作成しました。
主に次のような支援を行いました。
事業別の損益やKPIを確認することで、それぞれの事業の収益性や状況を数字で把握できるようになりました。また、経営者が頭の中で把握していた事業の状況や今後の見通しを一緒に整理していくことで、会計や数字に対する苦手意識が徐々に薄れ、経営者自身が会計の仕組みや数字の見方にも関心を持つようになりました。管理会計の導入を通じて、単に管理資料を作成するだけではなく、経営者が自社の状況を数字で捉え、経営について考えるための仕組みづくりを支援した事例です。
輸出取引のある法人で、まとまった設備投資も行っていました。一方で、輸出取引に伴う消費税の還付制度については、ご存じない状況でした。
輸出取引があることを踏まえ、消費税の取り扱い(還付の可能性)について相談を受けました。
輸出取引の内容を確認して消費税の還付可能性を試算し、還付の見込みを確認したうえで必要な資料や証憑を整理しながら消費税申告書を作成しました。申告後は税務署からの確認にも対応し、求められた証憑について必要な資料を整理・提出するなど、還付までの手続を進めました。
消費税の還付を受けることができました。輸出取引がある場合には消費税の取扱いについて事前に確認することが重要であり、還付の試算だけでなく、申告書の作成、税務署への対応、証憑の整理まで一連の流れを支援した事例です。
法人の事業活動により一時的に赤字となったことをきっかけに、今後の財務状況や税負担について検討する必要がある状況でした。
赤字となったことを踏まえ、会社の財務状況をどのように整理するか、また今後の法人住民税の負担についてどのような対応が考えられるかを検討しました。
財務状況を確認し、赤字によって生じた欠損を填補するための減資をご提案しました。減資による法人住民税均等割への影響を確認し、会社の状況によって均等割の負担を軽減できる可能性についてご説明したうえで、税負担だけでなく欠損の填補による財務上の整理と今後の法人住民税の負担をあわせて検討し、実際の減資については司法書士と連携しながら必要な手続を進めました。
減資を実施した結果、法人住民税の均等割の負担を軽減することができました。赤字を単に「税金が減る」という視点だけで捉えるのではなく、財務状況と今後の税負担を確認しながら、その会社の状況に応じた選択肢を検討した支援事例です。
同族会社で、親から子への事業承継プランを段階的に実行していました。計画を立てた当初から会社の状況が変化しており、事業承継プランの修正が必要となった段階から関与しました。
これまで進めてきた事業承継計画を、現在の会社の状況に合わせてどのように見直すかについて相談を受けました。株式の承継方法や税負担、経営者の退任なども含め、今後の進め方を整理しました。
会社の財務状況や株式の状況を確認して自社株評価を行い、贈与や相続時精算課税制度の利用を含めた株式の承継方法を検討しました。あわせて経営者の退任に伴う退職金についても検討し、事業承継全体への税務上の影響を整理したうえで、承継を進める中で当初予定していなかった事業が発生した際には、その都度会社の状況や今後の見通しを確認しながら、当初の事業承継プランを適宜見直しました。
会社の状況が変化する中でも、その都度事業承継プランを見直しながら、無事に次世代へのバトンタッチを実現しました。事業承継は株式や税金の問題だけで終わるものではなく、その後の経営まで見据え、その時々の状況に合わせて考えていくことが重要だと感じた支援事例です。
株式上場を目指す企業において、上場準備を進めるにあたり、これまで税務申告を中心として行っていた会計処理を見直し、企業会計に基づいた決算・管理体制を整備していく必要がありました。また、上場準備に伴うさまざまな課題への対応も必要となっていました。
これまでの会計処理には、税務上は問題がなくても、上場準備を進めるうえでは見直しが必要となるものがありました。そのため、現在の会計処理を確認し、企業会計の考え方に沿った処理へ変更するとともに、上場準備に必要となる会計・管理体制を整えていく必要がありました。
まず、これまで行われていた会計処理と、企業会計に基づいて求められる処理との差異を整理しました。そのうえで、単に会計処理を変更するだけではなく、今後も社内で継続して決算を行えるよう、実際の業務フローや経理体制を踏まえて対応を進めました。
主に次のような支援を行いました。
これまで税務申告を中心として行われていた会計処理を一つずつ確認し、上場準備を進める企業に求められる会計処理・管理体制へ移行できるよう支援しました。
企業の買収を検討するにあたり、対象会社の財務状況や収益性、財務上のリスクなどを把握し、買収判断に必要な情報を整理するため、財務デューデリジェンスを実施しました。これまで、複数の業種における財務デューデリジェンスに携わっています。
M&Aでは、決算書に記載された数値だけで対象会社の実態を判断することは難しく、過去の会計資料や取引内容を確認し、実際の収益力や財務上のリスクを把握する必要があります。また、業種によって収益構造や資産・負債の内容も異なるため、それぞれの事業の特徴を踏まえて調査する必要がありました。
過去の財務諸表や総勘定元帳などの会計資料を確認し、売上高や利益の推移、資産・負債の内容などを分析しました。そのうえで、一時的な損益や通常の事業活動とは異なる取引などを確認し、決算書の数値だけでは把握しにくい事項について整理しました。また、対象会社の事業内容や収益構造を理解したうえで、買収を検討する際に確認すべき財務上の事項を検討しました。
調査結果について、単に会計上の問題点を抽出するだけでなく、買収を検討するうえでどのような点に留意する必要があるのかを整理し、意思決定に利用できるよう報告しました。
日本法人の経営者が海外へ移住することとなり、非居住者となった場合に、会社・個人それぞれについてどのような税務上の対応が必要になるかご相談をいただきました。
海外移住後も日本法人から役員報酬を受け取る予定であったため、出国時の年末調整や、非居住者となった後の役員報酬・給与の源泉徴収について確認する必要がありました。また、経営者個人についても、海外移住によって影響を受ける税務上の論点がないか確認したいとのご相談でした。
まず、海外移住後に日本の所得税法上の非居住者に該当することを前提として、会社側と個人側に分けて税務上の影響を整理しました。会社側では、出国時の年末調整と、出国後に支給する役員報酬・給与の源泉徴収について確認しました。内国法人の役員が国外で勤務する場合の役員報酬は、原則として国内源泉所得となり20.42%の源泉徴収が必要となる一方、国外勤務に基づく従業員給与は原則として日本では課税されません。個人側では、国外転出時課税の対象とならないか、海外移住後も日本国内で申告が必要となる所得がないか、その場合に納税管理人の選任が必要とならないかなどを確認しました。国外転出時課税については、一定の居住者が1億円以上の有価証券等の対象資産を所有等している場合が対象となるため、保有資産の全体を確認する必要があります。
会社側で必要となる年末調整や源泉徴収の取扱いと、経営者個人に関係する国外転出時課税、納税管理人などの論点を整理し、それぞれ参考資料とともにご説明しました。海外移住後の取扱いだけでなく、出国前に確認しておくべき事項を会社・個人の両面から整理し、必要となる税務対応を事前に把握できるよう支援しました。
その他の支援事例も、今後こちらのページに順次追加してまいります。